今回は、中小企業だけが使える補助金についてです。
行政は中小企業が大企業と比べて資金力に課題があることを理解しているので、様々な財政的支援策を行っています。
最近では、コロナ禍での飲食店、GoToトラベル、GoToイートな様々な補助金が話題に挙がる事が多くありました。
「自分の業界にも使える補助金を出してほしい」と思った経営者の方も多いのではないでしょうか。
実は、ITにも利用できる補助金はありまs。
IT導入補助金
※2022年度のIT導入補助金のページ https://www.it-hojo.jp/
さて、いつもながら行政のやることは何だか分かりにくいので、1つ1つ見ていきましょう。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金には、3つの枠があります。
通常枠(A・B類型)
自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。ソフトウェア購入費用のみでなく、クラウド利用料の1年分や、導入関連費用も補助対象になります。
補助対象になる製品は、事前に登録が必要で、メーカーなどが登録を受けます。
ソフトウェアは以下のいずれかに該当し、生産性を向上させる工程あるいは効率化させる工程の機能を有しているものが対象です。ほとんどの業務が対象になっている事が分かると思います。
難しく書かれていますが、基本的にシステム化の目的がそれに該当するので、特に問題ありません。
1.顧客対応・販売支援
2.決済・債権債務・資金回収管理
3.調達・供給・在庫・物流
4.会計・財務・経営
5.総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
6.業種固有
7.汎用・自動化・分析ツール
また、労働生産性を年3%、3年で9%向上させる計画が必要です。
さらに、B類型では、これに加え、賃上げの条件が加わります。
また、申請だけでなく、実績の報告も必要です。
かなり、大変ですね。
以下は、通常枠の全体フローとなります。
出典:IT導入補助金HP
セキュリティ対策推進枠
こちらは、「サイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約や価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減すること」を目的としており、分かり易い。
補助対象となるサービスについては、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているものなので、以下を確認すると対象サービスが確認できる。
https://www.ipa.go.jp/security/otasuketai-pr/index.html#service_title
サービス内容を見てもわかる通り、クライアントPC経由でウイルス感染やマルウェア感染した時の監視を代替するサービスが多い。
情報システム部門の様な専門部署を持てない中小企業にとって、セキュリティ対策は何をして良いか分からない部分が大きいだろう。この様な手段で、思い切ってアウトソースするのも手だ。
PCなどのセキュリティ対策や情報管理はしっかりと行いつつ、クラウドサービスを基本にサービス提供者にセキュリティ確保を任せてしまう方が、早い、安い、安全が保てるだろう。
自社でサーバを準備して、自社でセキュリティ環境を構築する方がよっぽど脆弱になる可能性が高い。
デジタル化基盤導入枠
こちらは、対象ITツールが「会計ソフト」、「受発注ソフト」、「決済ソフト」、「ECソフト」となっている点がA・B枠と異なる。また、クラウド利用料やPC・タブレット、レジ・券売機等のハードウェアの導入費用も補助対象となっている。
なぜ、この4ツールだけがデジタル化基盤で別枠なのか明確な根拠が不明だが、どうやら、2023年から開始されるインボイス制度への対応を促すための枠の様だ。
この枠だけ特別に、ハードウェアも補助対象になっている。
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
システムアレルギーにしてしまう理由になっていないか
もっとシンプルでよい
しかも、この補助金はITコンサルタントを利用できない。コンサルを行うのは、ITを提供するメーカーの建付けになっているが、それは導入の説明であって、コンサルティングではない。
利用者は、お金もそうだが、適切なシステムを選ぶことがそもそも困難なのだ。
ITを選択する工程こそ重要
多機能だから良いシステムとは限らない。また、単純すぎてやりたい事ができない場合もある。
そういったミスマッチがおきれば、いくら補助金でカバーしても無意味だ。
ミスマッチが発生しないためには、十分なヒアリングと目標設定が必要であり、このフェーズこそITコンサルタントの役割だ。